棚卸差異の究明でやってはいけないこととは?

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そもそも棚卸差異はなぜ出るのか?

工場経理実務で一番と言って良いほど頭を悩ませた業務が“棚卸差異の原因究明”でした。
(この記事では”仕掛品の”棚卸差異とします)

もうそれはそれは大変で・・、いつも期末を恐れていました。。

そもそも棚卸差異が何かと言いますと、実際に棚卸を行って集計した棚卸金額(実棚金額とします)帳簿金額との差異のことを指します。

実棚金額>帳簿金額なら棚卸差益、実棚金額<帳簿金額なら棚卸差損、となります。
棚卸差益は理屈上よりも多く仕掛品が作れていることになるので差益ということになります。
棚卸差損はその逆ですね。

棚卸差異が発生する理由は色々ありますが、主なものは下記の通りです。
・帳簿の付け間違い
・原材料の紛失
・仕様書よりも材料を多く(少なく)使用して生産した
・屑の計上もれ

などなど。

なお、棚卸は上期・期末の年2回実施しますので、棚卸差異を究明するのは半年分の帳簿をひっくり返して確認することになります。

よって、棚卸差異がいつ発生したものなのか、何の要因なのか、半年分を紐解いていかないと差が埋まりません。
この究明作業にはかなり時間を要していました。

棚卸差異究明作業で絶対にやってはいけないこと

このように棚卸差異の究明作業は、様々な要因を考え、半年分の帳簿をひっくり返して行われます。
またその作業は、期末決算の時間のない中で行われます。

ですからこのように思ってしまうんです・・“この差異がなくなれば良いのに!”と。
面倒だから実棚金額を帳簿金額に近付けちゃおうかな、と。

でも差異を埋めるために実棚金額を変えることは絶対にしないで下さい。

実棚金額は貸借対照表(BS)の”棚卸資産”として計上されますので、実棚金額を変更してしまうと決算をいじってしまうことになります。

また在庫をいじってしまうことになりますので、利益が変化します。
そうすることで、意図をしていなくても、経理の不正を疑われてしまいます。


どれだけ大変でも実棚卸金額を正として、棚卸差異の究明をしましょう。

私の経験上、探していけば何かが見つかるもので、屑の計上モレがあったり、仕様よりも多くの材料を使用して生産をしていたことが分かったりしたこともありました。

大変な作業ですが重要なことは、棚卸差異の原因がわかったら、再発防止の活動ができます。

そうすることで、無駄な材料を使わなくなったり、業務手順を正しくしたり、次に繋がる活動ができます。

有名なところではトヨタの”カイゼン”という言葉ですが、まさに生産現場では改善の積み重ねが重要です。

棚卸差異が出てしまうと工場経理担当者としてはバツが悪いかもしれませんが、しっかりと分析して改善し、正直に報告しましょう。

私の場合、どうしても棚卸差異の全てが埋まりきらずにタイムアップで上司に報告しました。
怒られると思いましたが、一緒に考えてくれて、アドバイスももらえました。
誠実に正直が一番です。

大変な作業ですが、現場と向き合って、工場にとって良い活動を積み重ねていきましょう。

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